漢服の装い方

漢服のとき、傘ってどうしてる?

 漢服愛好家のぬぃです。

 この記事では、漢服・新中式ファッションのとき、どんな傘をあわせると似合うかについて、私の経験則をまじえて書いていきます。

 漢服を買い始めてすぐの時期だと、あまり傘とかまで意識がまわらないと思うのですが、しばらくすると漢服のコーデに似合う傘をもってみたい、そういう雰囲気の傘ってどこで売っているの……という疑問をもつはずです。

 漢服の色彩感に似合う傘って、わたしもあまりイメージできなくて、かなりの期間で保留にしていた問題でした。デザインだけでなく、機能面(晴雨兼用か、折りたたみか)についても考え始めるとなかなかいいものがみつからない……という悩みもありました。

 というわけで、この記事では漢服に似合うタイプの傘について、選び方のポイント・おすすめショップなどもふくめて書いてみます。

 雨の多い時期だけでなく、春の陽射しが強くなっていく時期だったり、一日通してお出かけするときの折りたたみ傘選びにも活かせる内容になっていますので、ぜひ参考にしていただけましたら嬉しいです。

ビニール傘はダメというわけではないけど

 まず、ビニール傘は絶対にダメというわけではないですが、あえて漢服や新中式ファッションと合わせるかといえば、個人的には微妙な気がします。

 まぁ、何もなくて濡れていくよりかはマシだと思いますが、漢服の重厚で高級感あふれる雰囲気にくらべて、ちょっと取ってつけたというか、あり合わせのもので済ませた感が否めないです。

 おしゃれなビニール傘もありますが、もうちょっと濁りというか重みのある色合いの傘にしたほうが私としては好みです。ファッションは全体の色合いや質感がきれいに溶けあっていると魅力的にみえるので、そういう意味でもやはり残念感が漂います……。

 あと、ビニール傘の弱点として日傘として兼用できない、ということがあります。4月くらいからは日傘があったほうが漢服の重ね着をしているときでも快適にすごせるので、晴雨兼用できるかどうかは重要な点になります。

ロリィタ系のひらひらした日傘は意外に似合う

 これは一種の漢洋折衷ファッションになるのですが、ロリィタ系のフリルなどがたくさんついた傘は、意外と漢服に似合います。中国の上流階級さんをイメージして、上品な感じにするのがおすすめです。

 なので、そういう傘をもっている方は、そのまま漢服にあわせてみても十分似合います。フリルの量は、多いほうが漢服の装飾性と合うので、かなりひらひらふりふりな感じにしてください。

 逆にフリルの量がすくないと、どことなく実用品っぽさが出てしまって、漢服の(いい意味で)浮世離れした感じからはずれてしまいます。

 細かいことをいえば、持ち手のディティールはぜひこだわりたいところです。傘のほうがふわふわした雰囲気になっていても、持ち手の色がパーソナルカラーと合っていないorコーデの色から浮く……などはなるべく避けた方がいいと思います。

 さらに言えば、傘を選ぶときは、傘の生地の色と持ち手などの骨の色が、自分のすでにもっている服と相性がいいか(似ている色になっているか)を気にしておくと安心できます。

 もうひとつ気をつけたいところは、傘の内側の色です。晴雨兼用の傘は、けっこうな割合で内側が黒い生地になっていることが多いのです。これは黒が似合う方ならいいのですが、黒が苦手なイエローベースの方などはかなり大きい面積が黒になってしまうので、もし買うときにはかならず傘の内側の生地はどんな色かをチェックしておくのがおすすめです。(逆にブルベ冬の方などは、黒があるとひんやりとした印象になっていいと思います)

 というわけで、ロリィタ系のひらひらした傘は意外と漢服に似合います。選ぶときは、晴雨兼用&ディティールや生地の内側の色が自分に似合うか要チェックです。

中国風の模様の傘

 こちらは、中国風の模様が描かれた傘をあわせるコーデです。

 漢服といえば、濃厚でぼってりと大きい柄だったり、たっぷりとした色味と高級感のある生地というイメージですが、傘もそういう雰囲気にするのがおすすめです。

 もっとも、中国ふうの模様の傘ってどんなものなのか想像できないという方も多いと思いますので、わたしが実際に買ってみてよかった商品をのせておきます。

https://m.tb.cn/h.gjdDRhUy3Z8zD6w?tk=vhAZ3cFMnMj(写真にのせた商品の通販サイトのリンク)

 こちらは、春雨の中の牡丹の花をイメージして描かれた模様です。この柄以外にも、夏の初めのハスの花、冬に冴える椿、春にあふれる桃の花などがあります(ぜんぶで12種類)。

 かなり色彩感が強いので、こんな傘が合うのか不安になる方もいると思いますが、漢服の柄とあわせてみるとコーデ全体がひとつの模様のようになって、雨が降って薄暗い街の中でもすごく華やかに映えること間違いなしです。

(どしゃ降りの雨の中では、漢服を着るのは個人的にあまりおすすめできませんが、しとしと雨くらいの薄曇りの中でお花のような傘と優雅な装いをするのはとても情緒があります)

 こちらのショップさんは、このシリーズ以外にもかなり素敵な傘がたくさんあって、どれも基本的に晴雨兼用・折りたたみOKで、持ち手のディティールや内側の生地の色などもかなり種類があるので、似合うものがみつけられると思います(ただ、私が買ったところなので、若干イエベ向きの色味が多いかもしれません……)

 ちなみに、晴雨兼用&折りたたみ式は、絶対に必要な条件ではないですが、お荷物を増やしたくないor室内ではバッグに入れておきたい、という方はぜひ晴雨兼用の折りたたみにしておくのがおすすめだったりします。

 もちろん、こちらのショップさん以外にも、中国の通販サイトをみていると素敵な傘に出会うことが多いので、好みの柄やお色味があったら、ぜひお迎えしてみてください(笑)

まとめ

 というわけで、漢服や新中式ファッションに似合う傘選びのポイントはこんな感じです。

  1. 傘の雰囲気は、上質感と高級感が大切。ビニール傘はダメじゃないけど、できたら控えて……
  2. ロリィタ系のフリル多めの傘は、意外と似合います。優雅な上流階級をイメージすると◎
  3. 中国風の柄の傘は、それだけだと派手に思えても、漢服とあわせると全体がひとつの模様のようになってすごく似合います。
  4. 傘を選ぶときは、晴雨兼用か・折りたたみがほしいのか・内側の生地の色はどうなっているか・持ち手や骨の色はコーデに似合うかなどもチェック(パーソナルカラーはこんなときにも役立ちます)

 たかが傘を選ぶだけなのに、こんなにいろいろと面倒なことを気にするの……と思うかもしれませんが、このくらい多くの基準があると、自分にぴったり似合う傘もかなり絞られてくるので、むしろとても気に入ったものを長く大事に使うことにつながるはずです。

 ちょっと余談になりますが、まだ漢服を着る前のときのわたしの話で、飛騨古川という岐阜県の町に旅行にいったときに、山から雲が涌き出すようにもうもうとした薄暗い春先の時期に、薄灰色にしずんだ通りをおしゃれして歩くのは、不思議な楽しさがあったのをおぼえています。飛騨古川は小さな街なのですが、水がゆたかで瀟洒なところで、傘がすごく似合うところでした。

 お気に入りの傘ができたりすると、雨の日におでかけするのもふだんはできないいしゃれが一つふえるような気持ちになれます。色が明るい傘だったりすると、沈みがちな街の中でひときわ綺麗に色彩が引き立つような気持ちになって、ほんとうにあじわい深い気分です。

 ぜひぜひみなさんも素敵な傘と一緒に、楽しい時間をすごしてください。

おまけ  傘の始まりの伝承

 ここからは、全然傘選びに関係ないお話です。

 さっき紹介したショップさんは「魯班夫人」といいます。そのショップさんで傘を買ったときにはじめて知った傘の起源についての伝承をひとつ紹介しておきます。(ショップさんのページから引用して意訳verです)

「魯班」とは中国の春秋時代にいた有名な工匠です。あるとき、魯班は外で物づくりをしていて、いつも雨や雪に苦しんでいたので、その妻は雨をふせぐものは何かないだろうかと思っていると水辺に咲いているハスの葉が目に入った。そのとき急にひらめいて、竹を細く切って、その上に動物の皮をはりつけて、ハスの葉のような形にしてみた。これがのちに傘になって、魯班夫人は傘をはじめてつくった人とされています。

 まぁ、民間伝承のようなものなのですが、すごく魅力のあるというか、ほのぼのとした世界観のお話ですよね(笑)植物やお花の柄がかいてあると、なんとなくその頃の傘をもっているような気分になれます。フリルもお花みたいですよね笑。

 ここまでお読みいただきありがとうございました。

ABOUT ME
nui
漢服愛好家。 埼玉の北のほうに棲んでます。漢服の魅力やコーデのつくり方、楽しみ方などを書いています。皆さまにも、上質で優雅なファッションで幸せな時間を楽しんでいただけるきっかけになったら嬉しいです。 クラシカルで貴族のようで、きちんと綺麗なファッションが大好きです。