漢服の楽しみ方

漢服で行きたい  おでかけスポット3選

 漢服愛好家のぬぃです。

 こちらの記事では、漢服でおでかけしてみると似合うスポットを3つほど紹介してみます。漢服を買ってみたけど、そもそもどんなところに着ていけばいいの……と思っている方は、ぜひ参考にしていただければ嬉しいです。

 もっとも、極論をいってしまえばどんなところに着ていってもいいのですが(笑)、初めのうちはこんな目立つ格好で笑われないかな……、引かれないかな……という不安があると思います(わたしはものすごい緊張してました笑)

 そんなことを思いつつ、いざお出かけしてみると初めて会う方にも褒めてもらえたり、心の癒され度がすごく高い一日になったりと、本当にいいことだらけです。本音をいうと、漢服を着てお出かけすることより、漢服で装う過程のほうが好きなのですが、好きな装いでお出かけした場所は、とても幸せな思い出になります。

 というわけで、わたしの経験的に漢服を着ていくと似合う&ほめられるおすすめスポット3選をご紹介します。

カフェ

 まず、定番すぎるorわざわざ紹介するまでもないかもですが、カフェは手軽でおすすめです。チェーン店もいいですが、できればちょっとマイナーでおしゃれな小さいお店にすると、とても素敵な思い出ができます。

 あと、そういうお店はだいたい個人経営だったりするので、お店の人にとても褒めてもらえます。ただカフェを楽しむだけでなく、好きなファッションを褒めてもらえるなんて、その日はずっと気分よく過ごせること請け合いです。

 ちなみに、もし褒めていただいたら、そのお店だったり店員さんのコーデも褒め返すのがおすすめです。そうすると、かならずもう一回ちょっと違う角度から褒め返してもらえます♪(承認欲求強すぎじゃね……という声が聞こえるかもですが、褒め返しているから大丈夫です)

 わたしの経験則だと、褒めてくれる方はなんとなくファッションの好みだったり、お店の雰囲気が近いことが多いです。なので、もし褒められたら「このお店の雰囲気に似合うと思って……」だったり、観光地のお店だったら「この街の雰囲気に似合うと思って……」みたいに返すと、まるで貴族のごあいさつみたいになって、すごく優雅な気分が楽しめます。観光地のお店とかでは、とても楽しい時間を過ごせて、旅行の満足度もすごく上がります。

 もうひとつ、そういうお店のいいところとして、丁寧なおしゃれをしていくと“ちょっと扱いが上がる”ということがあります(笑)もっとも、お茶が一杯無料になるとかそういうのではなく、お庭の近くのちょっといい席に入れてもらえたり、丁寧な対応をしてもらえるという程度なのですが、そういう自分に酔っちゃう快楽がすごいので、ぜひおすすめです。

 お店の人も褒めてもらえて、こちらも褒めてもらえて、お互いすごく楽しい&幸せな時間になるので、気になるカフェがあったら、ぜひ漢服でおしゃれしておでかけしてみてください。

美術館

 漢服で行きたいおでかけスポット、ふたつめは美術館です。

 おすすめの理由としては「知らない方から褒めてもらえる率が圧倒的に高い」ということがあります。まぁ、こんな承認欲求のためだけでなく、ほんとうに見たいものがあるから行くのですが、ついでに褒めてもらえるなんて最高の休日だと思います。

 知らない人にわざわざ声をかけて褒めるって、すごく勇気がいるというか緊張するはずなのに、最低でも一日一回は褒めてもらえるので、すごく楽しいおでかけになります。こちらも褒められたら褒め返してみてください。

 こんな書き方をしていると、ほんとうにただの承認欲求の塊みたいに思われそうだけど、自分の好きな作品をみながら、好きな装いに身をつつむ時間というのは、好きなものに囲まれていて心がすごく癒されます(褒めていただけるのは、その副産物くらいです)

 そして、美術館に着ていくときの楽しいところとして、「展覧会とのコンセプトコーデ」ができることがあります。

 たとえば、平安時代の書の作品がメインになる展示をしているときだったら、そのころの紙の模様のような生地の柄を活かしたコーデをしてみる、みたいな感じです(こちらが平安時代の書作品です。紙そのものに浮かび上がる模様が綺麗すぎます)

 平安時代には、中国の宋から輸入された模様入りの紙がすごく流行っていて、その上に書の作品を書いたりしていました。なので、コーデもその紙の模様のように光沢感のある織柄の生地の上衣をメインにして、季節が春だったら、桜や若葉のような淡い色でまとめて……みたいなコンセプトです。

 もちろん、そこまで決めなくてもコーデはつくれますが、コンセプトありにした方がコーデ全体に画竜点睛が入るというか、ふつうに色だけを組み合わせたのではない匂いや深みが出せると感じています。

 ファッションとその日のおでかけ先の相性をあわせるだけでなく、こういう複雑な絡ませ方ができるのも美術館の面白さだと思います。あと、こういうところまで練り上げてあると、褒められたときに言ってみると、さらに好評なこと間違いなしです(笑)

 コンセプトコーデはどんなところでもできますが、美術館は展示されている作品の雰囲気が自分のファッションの好みと似ていることが多いので、コンセプトコーデがすごく作りやすいです。

 というわけで、漢服でお出かけするおすすめスポット二つめは美術館でした。ちなみに、コンセプトコーデのつくり方については、こちらの記事で解説しています。

【上級向け】コーデはコンセプトをきめる  漢服愛好家のぬぃです。  今回の記事では、ふだんわたしがコーデをつくるときに大事にしている「コーデのコンセプト」について書いて...

神社仏閣

 漢服でお出かけするおすすめスポット、三つめは神社仏閣です。

 漢服って、どちらかというと東洋風の装いなのですが、背景になる場所も東洋風だとさらに似合います。ところで、神社とお寺って、すこし場所としての趣きが違う印象があるので、それぞれどんな楽しみ方ができるのか書いてみます。

 まず、神社は自然が豊かなところにあることが多いです。神社の自然って、どちらかというと手つかずというか、そのままの自然になっていることが多いので、紅葉のシーズンなどに行ってみると、意外な名所になっていることがあります。

 まぁ、あんまり山の深いところにある神社に漢服などで行くのはおすすめしませんが、紅葉がはらはらと落ちていく中で漢服でおしゃれしてみると、とても優雅で、季節にとけていくような幸せ感がすごいです(そんなときは、紅葉の色をコンセプトにしたようなコーデをしてみるのが特におすすめだったりします)

 お寺のほうは、中に上がれることが多いです。場所によっては、襖絵だったり屏風だったりが楽しめるor複雑な宮室のようになっていて、その中に座っていたり、お庭をながめていると、古い時代の貴族さんになったような気分が味わえます。

 こちらは京都の青蓮院というお寺なのですが、もはやほとんど宮廷の中にいるような気持ちになるくらい、上品で落ち着いた雰囲気をもっていて癒されます。いつまでもお庭をながめたり、入り組んだ堂房の中できちんとぼんやりできるので、堪能してみてください。

 ちなみに、そういうお寺が漢服に似合う理由って、もしかすると谷崎潤一郎が『陰翳礼讃』の中でかいている

 僧侶が纏う金襴の袈裟などは、その最もいい例ではないか。今日町中にある多くの寺院は大概本堂を大衆向きに明るくしてあるから、ああ云う場所では徒らにケバケバしいばかりで、どんな人柄な高僧が着ていても有難味を感じることはめったにないが、由緒あるお寺の古式に則った佛事に列席してみると、皺だらけな老僧の皮膚と、佛前の燈明の明滅と、あの金襴の地質とが、いかによく調和し、いかに荘厳味を増しているかが分るのであって、それと云うのも、蒔絵の場合と同じように、派手な織り模様の大部分を闇が隠してしまい、ただ金銀の糸がときどき少しずつ光るようになるからである。それから、これは私一人だけの感じであるかも知れないが……

ということなのかもしれないと思うのです。漢服のきらきらと重厚なかがやきは、うす暗い宮室のような寺院の中でこそ、もやもやのろのろと隠現するような不思議な魅力をおびる、ということです。

 さらに、お寺と漢服の相性のいいところはもうひとつあります。お寺では、かなり凝った庭園があったり、季節ごとのお花で有名なところがあります。梅・桜・芍薬・紫陽花……などのように季節によって有名な名所になるので、その時期にあわせて行ってみると、一年の中でもっとも綺麗なときに庭園めぐりが楽しめます。

 その季節のお花の雰囲気などにあわせてコーデを組んでみる……というのも、ふだん思いつかない配色が生まれたりしておすすめです。あと、そういう時期は漢服の極彩色と、お花の模様がすごく似合います(お寺の庭園って、けっこう極彩色になります)

 というわけで、神社やお寺にいくときは、季節の色味を重ねたようなコーデをしてみると、自然や陰翳ゆたかな雰囲気にすごく似合うこと間違いなしです。

まとめ

 というわけで、漢服でお出かけしたい場所3選をご紹介しました。簡単にまとめるとこんな感じです。

  1. カフェ:華やかなおしゃれをしていくと扱いが上がる&お店の人に褒めてもらえます
  2. 美術館:知らない人に褒めてもらえる&コンセプトコーデが作れます
  3. 神社やお寺:自然が豊かなので、季節感を活かした配色がしやすい&お寺は庭園で有名なところもあるので、それをメインに楽しむのもおすすめ
  4. お寺の薄暗くて複雑な建物の中では、漢服のきらきらと重みのある色がきれいにみえるのでおすすめ

 これ以外にも、どんなところに着ていっても問題はないので、いざとなったら自宅で一日漢服で過ごしてみる&地元からちょっと離れたところを漢服でお散歩するとかも、やってみると休日の満足度がすごく上がります(さすがに家のまわりは何となく恥ずかしいと思うので笑)

 途中でけっこう褒められたい発言もあったかもですが、好きな装いで一日を過ごすほんとうのいいところとして、ふつうに座ったり歩いたりする一つ一つの時間が、好きな装いにつつまれていると、たくさんの生地の重みや揺れを感じられる幸せな時間になることだと思っています。

 電車で座るときに馬面裙のプリーツの流れを気にしながら座ったり、上衣のお袖の形がきれいになるように気をつけたり、お化粧やスカーフの形がくずれないように丁寧に歩くみたいなことを大切にするって、上流階級の人みたいで素敵な気分になります。

 あと、もし行きたい場所がきまったら、簡単にでも下調べをしておいて、その場所の雰囲気にあわせたコンセプトコーデを作っておくのがおすすめです。そうすると、もし当日褒められたときにすごく気の利いた返しができて、さらに褒められます(心の中で悶絶するほど喜びが涌いてきます)

 というわけで、漢服でお出かけしてみるとおすすめのスポット3選でした。ふつうの移動時間だったりぼんやりと座っているだけの時間でも、すごく特別なものになること間違いなしなので、ぜひみなさんも楽しんでみてください。

 お読みいただきありがとうございました。

ABOUT ME
nui
漢服愛好家。 埼玉の北のほうに棲んでます。漢服の魅力やコーデのつくり方、楽しみ方などを書いています。皆さまにも、上質で優雅なファッションで幸せな時間を楽しんでいただけるきっかけになったら嬉しいです。 クラシカルで貴族のようで、きちんと綺麗なファッションが大好きです。