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漢服のお色選び

 漢服大好きなぬぃです。

 こちらの記事では、漢服の色選びについて書いていきたいと思います。漢服を買うときに躊躇してしまう一つの理由として、こんな極彩色の服が似合うかわからないということがあると思います。

 わたしも、白の上に赤とオレンジと青みたいな模様が入っていたりするのがふつうに売っていて、もしそれを買ってコーデを組んでみる場合、色が多すぎて混乱しないかすごく悩みました。また、上下を同系色でまとめた場合、着回しとか全然できないのかな……みたいな不安もありました(数日間悩んだりイメージを浮かべてみたりしていて、我ながら本当に気が長いです笑)

 というわけで、この記事ではこれから漢服を買ってみたいけど、どんな色を選んだらいいかわからないという方向けに、わたしなりの色選びの基本ルールを紹介していきます。

 漢服は一色だけの生地でつくられていることもありますが、多くのものが複雑な配色の織模様が入っています。そして、含まれている色は寒色系or暖色系、あるいは薄い色or濃い色というトーンがある程度似ています。

 なので、意外かもしれませんが、漢服を選ぶときにはパーソナルカラー診断のタイプ分けをもとにしていくと外さないです

 以下、パーソナルカラーを知らない方向けの説明が入ります。理論とかよりも早く診断してみたいという方は「2.パーソナルカラー簡易診断」、もう既に自分のパーソナルカラーを知っているという方は「3.漢服のお色選びは質感・トーンで」から読んでも大丈夫です。

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パーソナルカラーの仕組み

 ここではパーソナルカラーの基本的な理論について、わたしなりの理解ですが説明していきます。

 まず、パーソナルカラー診断では、似合う色ごとにイエローベース・ブルーベースの二つに大きく分かれます。そして、イエローベースは暖色系、ブルーベースは寒色系が似合うとされています。

 個人的にはこの黄色・青や暖色系・寒色系という表現がなかなか馴染めなかったのですが(笑)、イエローベースはオレンジとその周辺(緑・黄色)の色が似合う肌、ブルーベースは青紫とその周辺(青・ピンク)の色が似合う肌と捉えるとなんとなく見えてくると思います。

 そうすると、イエベの人はオレンジや緑、黄色、ブラウンなどのオレンジから派生したような色(暖色系)が似合っていて、ブルベの人は青や紫、ピンク、ワインレッドやローズレッドなどの青紫から派生した色(寒色系)が似合うとされる理由も納得がいきます。

 さらに、イエローベースの方がネイビーを着たいときには、うっすら緑(オレンジ寄りの色)を感じさせるネイビーを選ぶといい、ブルーベースの方がオレンジを入れたいときにはうっすらピンク(青紫寄りの色)を感じさせるオレンジを選ぶといい、みたいな解釈が出ているのもわかると思います。

 そして、イエローベースは、スプリングタイプ(イエベ春)とオータムタイプ(イエベ秋)、ブルーベースはサマータイプ(ブルベ夏)とウィンタータイプ(ブルベ冬)にわかれます。

 この四季に喩える表現も、個人的にはじめは全く体感的に理解できなかったのですが(笑)、わたしなりの理解をまとめてみると

  1. イエベ春:明るい色・軽やかな色が似合う(春のあざやかな花のような)
  2. イエベ秋:濃くてもったりと重みのある色が似合う(秋の紅葉や落ち葉、野菜の濃い色
  3. ブルベ夏:淡く透明感のある色が似合う(夏霧のかかった朝の淡い花のような)
  4. ブルベ冬:ヴィヴィッドで硬質な濃色が似合う(のネオンやイルミネーションが冴えたような色

みたいな感じになっています。

 もっと雑に書いてしまうと、イエベの明るいタイプは春、イエベの暗いタイプは秋、ブルベの淡いタイプは夏、ブルベの濃いタイプは冬です(実際はもっと細かくそれぞれが3つに分かれたり、4つに分かれたりする理論もあったり、さらには例外的な人もいたりするのですが、そこまで書くと難しくなり過ぎてしまうので、この記事では4タイプまでにしておきます。もちろんわかる方は選ぶときに参考にしていただいてOKです)

 というわけで、つぎの章ではご自身で簡易的に診断してみましょう。

パーソナルカラー簡易診断

 まずはイエベ・ブルベの違いを診断していきます。診断項目はつぎの三つです。

1:手首の内側にみえる血管の色は?
 A:血管は緑っぽい
 B:血管は紫っぽい

2:日に焼けたときの肌は?
 A:茶色く定着する
 B:その日だけ赤くなる

3:似合うアクセサリーの色は?
 A:ゴールド
 B:シルバー

 簡易診断なのですが、Aが多い方はイエベ、Bが多い方はブルベになることが多いと思います。さらに、イエベ・ブルベの中でどちらの季節になるのかを診断していきます。

  1. スプリング(春):明るい黄色やコーラルピンクなどが似合う。逆に濃い緑やダークブラウンなどは重く感じる
  2. オータム(秋):落ち着いた茶色やオレンジなどが似合う。明るい黄色やアイボリー、黄緑などが多すぎると服のほうが軽くて不釣り合いにみえる
  3. サマー(夏):透明感のある水色や淡いピンクなどが似合う。マゼンタや黒、あざやかな青紫などを着ると、服の色が強すぎる
  4. ウィンター(冬):はっきりとしたピンクや真紅、紫などが似合う。淡いトーンやパステルカラーなどは色が弱いと感じる

 これはかなり感覚的な面になってしまうのですが、明るいスプリングと落ち着いたオータム、淡いサマーとパキッとしたウィンターみたいに思ってもらうと、なんとなく自分がどのタイプかわかると思います。

 もっとも、4タイプだけの診断でも、第一タイプと第二タイプを診断することで、実質的には12タイプに分けていることもあるのですが(1st:ウィンター、2nd:オータムなど)、やっぱり最も基本になるのは第一タイプなので、ここでは第一タイプだけを調べればOKにします。

(ちなみに私は1st:オータム、2nd:スプリングのウォームオータムです。メイクしないと、集合写真の中で顔色が一人だけ暗くて本当に大変でした笑。あと、一瞬でも気を抜くとすぐ日に焼けるので、どこへ行くにも日焼け止め持ち歩いている……)

 ということで、いよいよ漢服の選び方に入っていきます。

漢服のお色選びは質感・トーンで

 いよいよ漢服の選び方についてです。

 漢服の色味は、ふつうの服に比べてかなり多くの色が使われていて複雑にみえますが、よくみていると全体として一つのトーンになっていることが感じられてきます。そのトーンや質感が、全体的にどのタイプのパレットから出てきたお色味が多いのかをみていくと、どのタイプにお似合いになるかがわかってきます。

 たとえば、こちらの上衣をみていただくと、

 全体の基調にアイボリーがあって、その上に濃いオレンジと朱色、緑っぽいネイビーの模様が入っていて、薄い青が少し混ざっているというお色味になっています。

 アイボリー・オレンジ・朱色・緑っぽいネイビーなどは、どちらかというとイエベ寄りの色です。この上衣は全体的に濃すぎず明るすぎずなので、スプリング・オータムどちらのタイプにも合わせられる感じがあります。

 さらに、こちらの馬面裙をみていただくと

 全体的には濃いめのネイビーになっていて、ところどころに濃い赤や金糸が入っているという重厚な雰囲気の一品です。ネイビーが似合うのは濃い色が得意なオータムorウィンターですが、金が入るとイエローベースの方が似合いやすくなります。

(例に出しているのが私の私物なので、イエベ秋向きのものばかりになってしまい申し訳ありません……。あと、パーソナルカラーから外れるものを着るテクニックもあるのですが、とりあえずのお色選びの基本ルールとして書いていきます)

 こんな感じで、そのアイテム全体の質感orトーンがどのタイプに近い印象を受けるかを感じて選んでいくと、複雑な模様や配色になっている漢服でも外さずに選ぶことができますので、参考にしていただけたら嬉しいです。

4色以上のコーデ

 ここまで読んできて、「それぞれのお品の選び方はわかったけど、既に4色も含まれている上衣と、そこに含まれていない色が入っている馬面裙ってどうやって組み合わせるの?」という疑問をもたれる方がいると思います。

 コーデのルールとして、“一つの組み合わせの中に入れていい色は3色まで”というのがよくいわれていて、こんなに幾つも色を入れたらぐちゃぐちゃにならないか心配だったり、上下で同系色をそろえなきゃなのかと不安に思われるかもしれません。

 わたしも実際、こんなに多色コーデを組んだことが無かったので、買う前に何時間も脳内でシミュレーションしてみて、それでも似合うか不安だったりしました。あと、現代の日本ではこういうコーデが紹介されないので、変に目立たないかすごく不安です……。

 ですが、たまにファッション誌の着回しコーデのページなどに、一つのコーデに4つの色が入っている例が載っていたりします。そういう例をよくみていくと、「色は4つだけど、そのうち2色は同系色」という特徴に気がつきます。

 たとえば、白いシャツ・ベージュのジャケット・ネイビーのスカートだったら、スカーフが黄色で差し色として入っても、ベージュと黄色を一つの色として見做す、などの組合せです。もしくは、バッグがアイボリーだったら、白とベージュの中間としてバッグを馴染ませているので、色数のわりにまとまってみえるという感じです。

 これを漢服に応用していくと、たとえばこちらの写真では

 上衣は全体のトーンがオレンジを中心にした色味になっています。馬面裙はさきほど出した通り、ネイビーを基調にして金色とわずかに赤という組み合わせです。帽子はネイビーと黄色系、バッグは赤~オレンジと僅かに青の混色です。シャツは白なので、上衣の薄いベージュの基調ときれいにつながっていく印象になります。

 これら全体をみてみると、上衣はオレンジ系を中心に幾つかの色がまざり合っている質感、馬面裙はネイビーの中に金と赤が入っていますが、金は光沢のあるオレンジ、赤もオレンジに近い色としてまとめられます。

 さらに帽子はネイビーで馬面裙とつながっていて、バッグの赤~オレンジは上衣とつながって、ゴールドの持ち手は馬面裙とつながります。

 なので、全体的には「オレンジ的な色(アイボリー・黄色・わずかな赤を含む)・ネイビー・ゴールド(オレンジとつながっていく面もある)」の3色でつくられているようにみえるコーデになります(印象派の画家がキャンバスを離れてみたときに混色されてみえるように色を塗っていく技法とよく似ていると思います)。

 実際は、オレンジ・ネイビー・アイボリー・白・青緑・赤などが入っているのですが、ごちゃごちゃしない見せ方になっています(「ごちゃごちゃしているよ」って言われるかもですが笑)

 こんな感じで、それぞれのアイテムをパーソナルカラーに合わせて選んでおくと、その中に含まれている色どうしが、離れてみたときに互いに結びついてくれます。なので、全体として大きいトーンでまとまり、色数が多くても滑らかにつながった配色になっていきます。

まとめ

 ということで、漢服の色を選ぶときには、その漢服の柄に含まれている色が自分のパーソナルカラーの色に近いかどうかを重視します。これを意識しておくと、コーデを組むときに自然と柄どうしが馴染んでいきます。

 そして、いくつもお色が含まれている漢服をコーデしていくときは、色よりも質感やトーンを3つまでにして、離れてみたときに色がまざってみえることを意識すると、華やかできらびやかなお色味があるのに、全体としても綺麗にまとまっているコーデができます。

 色数が多くて複雑そうにみえるのに、なぜか不思議なバランスでまとまっているコーデって、渾然として重厚感と深みのある中国らしい味わいがあって本当に魅力的だと思います(個人的偏見です笑)。

 かなり長い記事になってしまいましたが、お読みいただきありがとうございました。彩り豊かな文化のお花をまとうようなコーデをぜひ楽しんでください!

ABOUT ME
nui
漢服愛好家。 埼玉の北のほうに棲んでます。漢服の魅力やコーデのつくり方、楽しみ方などを書いています。皆さまにも、上質で優雅なファッションで幸せな時間を楽しんでいただけるきっかけになったら嬉しいです。 クラシカルで貴族のようで、きちんと綺麗なファッションが大好きです。