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漢服のサイズ選び

 お読みいただきありがとうございます。

 こちらの記事では、漢服のサイズ選びについて書いていきます(後半では骨格診断のタイプごとにどのように漢服を着ると似合いやすいかも書いてます)。

 実はわたしも初めて漢服を買うときは、ネットで書いてあるサイズをみても、今ひとつどのくらいのサイズ感なのかがイメージできなくてすごく悩んでいたタイプです(数時間~数日間は何度も脳内シミュレーションしていた)。ちなみにネットで調べても漢服のサイズ選びなんて出て来ないです笑。

 なので、これから漢服を買ってみたいと思っている方がいましたら、ぜひ参考にしていただけたら嬉しいです。今回は、馬面裙と上衣のサイズ選びについて書きますが、それ以外のときにもかなり応用は効くはずです。

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馬面裙

 明代の漢服の巻きスカートのことを「馬面裙」といいます。着方としては、着物の下半身をイメージしてもらえると近いのですが、内側に入れた方の上端から腰紐が出ていて、外に巻いた方に空いている穴から表に紐を出して結ぶ、というものです(文字で書くとわかりづらいけど)。

 なので、着物の前合わせをイメージしていただくと近いのですが、ウエストはあまり厳密に選ばなくても大丈夫だったりします(緩ければ紐を締めれば調整できますし、前合わせの部分もかなり幅があります。風が強いとめくれたりするので、ペチコートなどはあった方がいいときもあるけど)。

 それよりもむしろ個人的に気になるのは丈の長さです。最も小さいサイズでも丈の長さが95cmくらいある商品も多くて、これってかなり長くないですか……?

 一応、私は身長が168cmなのですが、着丈が95cmだと、ふつうの状態ではけっこう地面すれすれだったりします。ネットショッピングの着用画像をみていると、中国のモデルさんはほとんど足が隠れるくらいの長さで着ていますが……。

 個人的には、外で着ることを考えるとちょっと抵抗があります(笑)正直、外ってきれいな地面ばかりではないし、お出かけすると外でトイレなどを済ませることって、かならずあると思うのですが、そういうときに地面に擦るのは絶対避けたいです。あと、階段とかでも擦れたりがあるので、多少はやはり地面から離しておきたい……。

 漢服って、別にすごく高級ブランドというわけではないけど、だからといって安いものでもないし、地面にすれてせっかく綺麗な模様が汚れたり傷ついたりするのは何としても避けたいです。あと、家に帰ったあとに保管することを考えると、洗濯もできなくはないけど、気軽に洗えるものでもないです。

 なので、馬面裙を着るときは、個人的にはそれなりにヒールのある靴を履くことを考えて、その状態で地面からどのくらい離れるかで選ぶと外さないと思います。中国風の靴をあわせているコーデも載っていたりしますが、ヒールなしだとかなり地面すれすれになっているので、地面に引き摺らない長さを意識して選ぶことがおすすめです。

補足
 馬面裙は、生地の量で4.5mタイプと6mタイプがあります。4.5mタイプはよりカジュアルな印象、6mタイプはよりクラシカルで華やかな印象になります。なので、6mタイプを買うときは、4.5mタイプより少し長めにしていいと思います。

 馬面裙の4.5mタイプと6mタイプの違いについては、こちらの記事で写真ものせているので、良かったら見てもらえると嬉しいです。

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上衣

 漢服では、上衣のことを袄(おう)ともいうのですが、ここでは馴染みのいい上衣でいきます。ちなみに腰くらいまでのを短袄、膝くらいまでのを長袄といいます。

 この記事では明制漢服について書いていきますが、明制漢服の上着って、基本的にすごく袖が長いです。両方のお袖を広げると短くても180cm、長いものだと2m近くあったりします。なので、肩幅はほとんど問題にならないと思っていただいて大丈夫です(肩に縫い目もないので)。あと、袖丈も気にしなくて大丈夫です。

 というわけで、上衣を選ぶときにもっとも大事なのは胸囲になります。自分の例だと、実寸+10~15cmくらいを選ぶようにしています。あまり緩すぎると漢服らしいクラシカルできちんとした着こなしに見えなくなってしまうので、10~15cmを胸囲にプラスする感覚でいいと思っています。

(首まわりが立襟になっているタイプもありますが、基本的に首周りはけっこう余裕があります)

 ちなみに、馬面裙・上衣ともに、たまにおすすめ身長・おすすめウエストなどが書いてあることもありますが、やはり上衣は胸囲、馬面裙は着丈をメインに選んだほうが外れが無いです(身長と胸囲、ウエストと脚の長さはきれいに比例するわけではないので……)。

 あと、上衣には「立ち襟タイプ(立領)・着物ふうの襟タイプ(交領)・道行コートふうの襟タイプ(方領)」があるのですが、道行コートふうの襟(方領)のものは、他の2種の上にかさねて着ることもできます

 なので、方領タイプの上衣は、コート的に着るときはすこし大きめでもいいかもです(ほんの2~3cmの差だと思いますが)。上衣の3タイプについても、馬面裙のところで載せたリンク先にかいてあるので、みていただけると嬉しいです。

微妙なサイズに悩むときは……

 それでも、漢服のサイズって5cm刻みだったりして、ちょうどいいサイズがない……ということもけっこうあると思います。実際、馬面裙も5cm違うとかなり見え方が変わるし、胸周りも5cm大きくなると途端に緩くなりやすいです。

 そんなとき、大きい方に合わせるか、小さい方に合わせるかで悩むことになりますが、そのときに活躍するのが“骨格診断”です。

 まず、ウェーブタイプの方は、“下重心体型&悩んだら小さいサイズを選んで”といわれているように、上衣も馬面裙も小さめサイズを選ぶつもりで大丈夫です。

 ウェーブタイプは長すぎるスカートなどを穿くと、もともと下重心な身体がさらに重く見えがちなので、馬面裙はブーツの足首が少しのぞくくらいにしてもいいです。通販サイトの漢服モデルさんの着こなしというより、袴とブーツを合わせたようなイメージに寄せていく感じです。

 上衣のオーバーサイズは、ウェーブタイプの華奢な上半身を蔽ってしまうので同じく向いてないとされるので、上衣も小さめを選んでください(胸囲の実寸+10cmくらいでも大丈夫です。上衣の中に何を着るのかにもよりますが、シャツと同じくらいの胸囲でも大丈夫でした)

 つづいてナチュラルタイプですが、“骨が目立つ体型&大きめサイズが似合う”といわれるように、上衣も馬面裙も悩んだら大きめサイズに寄せる感覚です。

 ナチュラルタイプは、生地のたっぷりしたドレープ感や量感があるほうが、もともとの骨を隠してくれるとされています。馬面裙はナチュラルタイプが得意なたっぷりしたマキシスカートそのものなので、地面につかない範囲で長めに着ていただいて大丈夫です。

 上衣はあまりにも大きすぎるのは漢服らしい着こなしになりづらいのですが、胸囲の実寸+15cmくらいあっても、むしろ織模様とあわせると富貴の気を身にまとったような雰囲気になります。さらに、ナチュラルタイプ得意のモード系寄りにした場合は、短袄をゆるくコートみたいに重ねたりも全然ありです(そういうときは、さらに大きめサイズにしても似合うと思います)。

 最後にストレートタイプなのですが、“重心は上寄り&ジャストサイズが似合う”とされていて、そもそもちょうどいいサイズがないときの話をしているのに、ジャストサイズって……となりますよね(笑)

 ストレートタイプの場合は、ちょっと変則的な方法になりますが、馬面裙は長めにして、上衣は小さめを選んでください。

 まず、馬面裙は骨格ストレートさんが得意なIラインのプリーツがたくさん入っていて、さらに横にもほとんど広がらないという点で、似合うスカートになります。なので、馬面裙は縦長のラインを感じさせるように穿いてみてください。

 上衣については、ストレートタイプは小さめの上衣は向いてないとされますが、漢服はかなり袖にボリュームがあって、下に重みが寄るような形になっています。さらに、上衣は裾にいくほど広がっていく作りになっているので、そもそも上衣のデザインが下重心気味といえます。

 さらに、ストレートタイプは小さめの上衣と同じくオーバーサイズの上衣も向いてないとされますが、それは実際以上に上寄りにボリュームが出てしまう故とされます。上下を漢服でコーデする場合だと、馬面裙で下半身に縦のラインを出しているので、上半身はお袖のボリュームのある形にすると、全体として見たときに重心がやや下に寄ってみえてきます。(ナチュラルタイプほど下に寄せないほうがいいのですが)

漢服と骨格診断

 ここまで読んできて、「漢服ってそもそもどの骨格タイプに似合うの?」と疑問に思われる方もいると思いますが、漢服の中のどの要素を濃くみせるかによってどんなタイプにも似合わせられると私は思っています。

 ストレートタイプにとっては、馬面裙は縦にいくつも入ったプリーツがIラインの強調になっているので、その縦長感を活かすようにしていきます。さらに、ストレートタイプがボリュームスリーブを着るときは、肩まわりよりも袖口にボリュームがあるものを選べば、重心が上に寄らずにみえる、という着こなしに近いと思ってください。

 生地感では、ストレートタイプに似合う厚みと張りのあるしっかりした高級感のある素材というところが似合うことになります。

 ウェーブタイプでは、よく足首などの細くみえるところを出すようにするといいと言われるように、馬面裙は少し短めにして足首をみせるつもりで選びます。さらに上衣はコンパクトなサイズ感にすればいわゆるウェーブタイプ向けの着こなしになります。生地としては、光沢感がウェーブ向きになり、さらにとろとろ柔らかいものも向いています。

 ナチュラルタイプでは、いわゆるマキシスカートやワイドパンツ的な形としてみた場合は馬面裙が似合うことになります。なので、マキシ丈のような形にみえるサイズを選ぶといいことになります。上半身もゆったりと広がった袖や長袄の流れ落ちるようなデザインはナチュラルタイプの得意な要素です。

まとめ

 というわけで、この記事の内容を簡単にまとめると、こんな感じになります。

  1. 上衣は胸囲をメインに選ぶ。タイトめだと実寸+10㎝、ゆるめだと実寸+15㎝くらい
  2. 馬面裙は、もともとのサイズがかなり長いので、地面に引き摺らない長さを意識。ウエストのくびれからメジャーを垂らして確認するのも大切です。
  3. 微妙なサイズで悩んだときは、ウェーブタイプは上小下小、ナチュラルタイプは上大下大、ストレートタイプは上小下大

 初めての方は漢服を着たときのイメージが湧きづらくて、どんなサイズを選んでいいのかわからないと思いますが、基本的にはこんなルールを意識してもらえればと思います。

 もっとも、ウェーブタイプでも長袄を着るアレンジもありますし、ナチュラルタイプでも短袄を似合わせる方法はあります。その辺りはスカーフやアクセサリーなどの小物だったり、ベストの重ね着だったり、バッグとの取り合わせだったりと、色々と細かい方法はあるのですが。ちなみに、私のタイプはウェーブを基調にして、ストレートミックス型だと思っていますが、長袄もふつうに着ています。

(ここに書いたことは、とりあえずの基本的なサイズ選びについてなので、このルールに外れると全て似合わないというわけではないので安心してください。でも、全体を調和させてくれる役割として、この基本ルールにもとづいて選んだものを混ぜると、綺麗にコーデがまとまってくれます。)

 なので、みなさんもここに書いた基本ルールを元にしながら、自分にとって似合う着こなしを色々と楽しんでいただけたら嬉しいです。お読みいただきありがとうございました。

ABOUT ME
nui
漢服愛好家。 埼玉の北のほうに棲んでます。漢服の魅力やコーデのつくり方、楽しみ方などを書いています。皆さまにも、上質で優雅なファッションで幸せな時間を楽しんでいただけるきっかけになったら嬉しいです。 クラシカルで貴族のようで、きちんと綺麗なファッションが大好きです。